年金給付の受給権者であった者が死亡した場合、その者に支給すべき年金給付でまだ支給されていないもの(未支給年金)があるときには、生計を同じくしていた一定の遺族が、年金の請求をすることができます。
老齢基礎年金などの公的年金給付は、年に6回、偶数月の15日に前月までの2か月分が支給されることとなります。8月に支払われる年金であれば、それは6月分と7月分の年金です。そのため年金受給者が死亡すると、亡くなった当月以前の年金は本人は受け取ることが出来ない為、遺族が受け取ることとなります。
未支給年金は遺族が固有の権利として請求するものであるため、死亡した受給権者に係る相続税の課税対象とはなりません。この未支給年金は、相続財産ではなく、受け取った遺族の一時所得に該当します。
未支給年金は、遺産分割との関係でも、相続税課税との関係でも、亡くなった者の相続財産には算入されません。
故人に代わって年金を受け取ることができる遺族は民法上の相続人の範囲とは異なり、
①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦それ以外の3親等内の親族で、
年金を受け取れる順位もこの並びのとおりとなっています。
ただし、故人の死亡当時に生計を一にしていることという条件があるため、同居している叔母さんがいれば、家を出て独立している子供より上位となります。遺族が年金を受け取る際には、遺族年金の請求とは別に、年金事務所に「未支給年金請求書」を提出して請求します。
未支給年金請求書を提出するときには、亡くなった者の死亡が記載された戸籍謄本や、請求する遺族と亡くなった者との親族関係がわかる戸籍謄本、生計を同じくしていたことがわかる書類として住民票などを提出します。
受け取った年金に相続税はかからないが、遺族の一時所得として扱われることから、所得税の課税対象になることを忘れないようにしましょう。